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アリババと40人の盗賊

 つい先日ニューヨーク株式市場に上場した世界最大級の電子取引サイト「アリババ」。株価は上場以来ウナギのぼりで、上場時93ドルだった株価はいまや118ドルに上る。上場時買おうかどうか死ぬほど迷った株だったが、よくわからないという理由で先延ばしにしたのが悔やまれる。今も投資しようかどうか悩んでいる銘柄。
 と言った話は置いておいても、いまや世界中で名の知らぬ者のいない「アリババ」の元ネタが、アラビアンナイトに出てくるこの「アリババと40人の盗賊」である。アラビアの人間が作った話かと思ったら、18世紀にフランス人によって考案されたのだと言う。少しがっかりである。
 開け、ゴマ
 あまりにも有名なこのセリフも元ネタはこの話である。
 前述の「アラビアンナイト」同様、原作を大きく変えた話になっている。
 以下、原作の話を引用したいと思う。
 「昔、ペルシャの国に、貧乏だが真面目で働き者のアリババという男がいた。ある日、アリババは山で薪を集めている最中に、40人の盗賊たちが奪った財宝を洞穴の中に隠しているのを偶然目撃した。洞穴の入口をふさぐ岩の扉が、「おいシムシム(胡麻)、お前の門をあけろ!」という呪文の言葉と共に開き、盗賊たちが洞穴の中に入ると自動的に岩の扉が閉まる。しばらくすると再び岩の扉が開き、盗賊たちが外に出て来た後、扉は再び閉まった。その一部始終を木の陰に隠れて見ていたアリババは、盗賊たちが立ち去るのを待って自分も洞穴の中に入り、財宝の一部を袋に詰めて家に持ち帰った。
かくしてアリババは大金持ちになったが、金持ちで強欲なアリババの兄・カシムがそのことを不審に思い、財宝を手に入れた経緯をアリババから無理やり聞き出し、カシムも財宝を狙って洞穴に忍び込んだ。ところが、財宝に夢中になって再び扉を開ける呪文を忘れてしまい、洞穴から出られなくなったところを、戻って来た盗賊たちに見付かり、カシムはバラバラに切り刻まれて惨殺されてしまった。
カシムがいつまでも帰って来ないのを心配したアリババは、翌日になって洞穴へ向かい、盗賊たちの手でバラバラにされたカシムの死体を発見した。アリババはカシムの死体を袋に入れて密かに持ち帰り、カシムの家に仕えていた若くて聡明な女奴隷のモルジアナと相談の末、遠くの町から仕立屋の老人を呼んで、死体を縫い合わせてもらい、表向きはカシムが病死したことにして、内密に葬儀をすませた。その後はカシムの家と財産もアリババの物になり、アリババはカシムの一人息子を養子にして、この上もなく恵まれた身分の男になった。
一方、財宝の一部と死体が持ち去られたことに気付いた盗賊たちは、死んだ男の他にも仲間がいると考えて、すぐに捜査を始め、死体を縫い合わせた老人を見付けて、情報を聞き出すことに成功した。そして、老人の協力でアリババの家(元・カシムの家)を見付けた盗賊たちは、頭領が多数のロバを連れた旅の油商人に変装し、ロバの背中に乗せた油容器の中に手下たちが隠れ、アリババの家に一夜の宿を求めて泊めてもらうという作戦で家の中に入り込み、家の人々が寝静まるのを待ってアリババを殺そうと画策していたが、庭に運び込まれた油容器の中身が盗賊たちと気付いたモルジアナは、一つだけ本物の油が入っている容器を探し当てると、急いでその油を台所に運び込み、大鍋に入れて沸騰させ、煮えたぎった油を全ての容器に注ぎ込んで、中に隠れている盗賊たちを一人残らず殺した。そうとも知らず夜中に寝床から起き上がり、仕事に取りかかるために手下たちを呼ぼうとした頭領は、容器の中をのぞき込んで手下たちの全滅を知ると、驚いて単身アリババの家から逃げ去った。
しばらくの後、盗賊の頭領は偽名を使って宝石商人になりすまし、カシムの息子が経営する商店の近所に住みついて彼と親しくなり、アリババの家に客人として招かれた。頭領は服の中に隠し持った短剣でアリババを殺すつもりだったが、またしても客人の正体を見抜いたモルジアナは、余興として客人に舞踊を披露すると言い、彼女も短剣を持って踊りながら隙を見て頭領を刺し殺し、アリババ達に客人の正体を晒した。
かくして40人の盗賊たちは、聡明なモルジアナの機転で全員返り討ちにされた。この功績によって、モルジアナはカシムの息子の妻になり、洞穴の中に残っていた莫大な財宝は国中の貧しい人たちに分け与えられて、アリババの家は末永く栄えた。」
 WIKIより転載。
 映画版では、舞台がバグダットになっており、時代は13世紀半ば、モンゴル族によるバグダッド陥落を背景にしている。
 アリババは正統カリフの末裔という設定になっており、父はモンゴル軍と勇敢に戦っていた。しかし、宰相であるカシムに裏切られ、モンゴル軍の奇襲を受けて、死ぬ間際に息子のアリに王家の紋章を託し死んでしまう。
 アリババを演じるのは「アラビアンナイト」でハルーン王を演じたジョン・ホール。フラグ・ハンの許嫁を演じるのは同シェヘラザードを演じたマリア・モンテス。
 イスラムとモンゴルの戦いをアメリカのハリウッドがドミニカ出身の女優に演じさせるという国際色豊かな映画である。
 映画の中では、徹底的にモンゴル軍が悪玉として描かれる。これは、映画公開時1944年、すなわち日本との戦争の最中であったことと無関係ではないであろう。黄色人種=悪の図式を国民に植え付けたかったに違いない。
 もっとも、実際のモンゴル軍の襲撃たるや、映画の100倍はひどいもので、伝染病で死んだ死体を敵の城に投げ入れたり、自分の所の兵士ではなく、占領した土地の兵士を戦わせていたりした。占領された土地の兵士は、家族を人質にとられた挙句の果てに、モンゴル軍が後ろで弓を構えていたので、戦わざるを得なかったらしい。日本に来た元軍も、実際にはほとんどが朝鮮人だった。タタールのくびきなどという言葉でも知られ、のちに「黄禍論」の元にもなった。
 ちなみに、映画で出てきた敵役フラグ・ハンは、フビライ・ハンの弟であり、「イル・ハン」の名称でも知られる。「アラビアンナイト」に出てきたハルーン王を輩出したアッバース朝を滅ぼした人物で、「イル・ハン」国の創始者でもある。
  実際のカリフは、モンゴルに降伏後たったの一日で処刑されてしまったらしい。フラグによるバグダッド破壊は徹底していたようで、当時を示す当代の資料は一つとして残っていないそうで、タリバンも真っ青の愚行である。
 モンゴル軍が何を目的としてここまでの征服活動を行ったのかよくわかっていない。彼らは占領先のあらゆる文化を破壊しつくしてしまったので、資料に乏しいようである。歴史を残すことに関しては定評のある中国ですら、歴史を書き記すことが出来ず、「元朝秘史」という、その名の通り秘密文書のみが残っている程度だそうだ。
 名作「蒼き狼」の作者井上靖は、そのあとがきにて、モンゴル軍の目的が分からず、あれだけの大帝国だったにも関わらず、資料が少なすぎて苦労した、という書いていた。
 

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 映画内でも「タイラント」の名称で呼ばれていた。
 現在、世界中の人間の4人に1人は、モンゴル人の遺伝子を含んでいるそうである。
 モンゴル恐るべし。

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