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神様からの一言

71dyURn-OCL__SL1300_ 最近ポケモンのことばかりだったけど、このブログはそもそも読書ブログだった。
ってな訳で本日ご紹介させていただくのは荻原浩さんが書いた「神様からの一言」
この本を読んだのはもう10近く前、私がまだ大学生だった頃だったと思う。
御茶ノ水の三省堂書店に行って買った記憶があります。
書店員さんが大絶賛!!
という帯が今もまだ残っていて、なんだか懐かしいとともに、自分が急に年を取った気がします。
大手広告代理店を辞め、「玉川食品」に入った佐倉涼平は、入社早々販売会議でトラブルをお越し、リストラ要因収容所とさえ言われる、「お客様相談室」に異動になった。そこでは「神様」からありがたい一言が。
荻原さんの本は結構好きで読んでいるのですが、これは別格だと思います。
まさしく笑いあり、涙ありの一冊で、コメディチックにやくざを撃退したと思ったら、仲間が自殺をしてしまったり、いつもコミカルな人物が、内面には複雑な悩みを抱えていたり、とにかく面白いなぁと思う一冊です。
10年経った今でも、よく覚えているこの本の中のやりとりがあります。主人公の佐倉涼平と、先輩の篠崎との会話。
「会社ってのはさ、このおでん鍋みたいなものなんだよ」
「え?」
篠崎が酒の代わりを注文するちでに、空のコップで目の前のおでん鍋を指した。
「ほら、せまい所でぐつぐつ煮詰まってさ、部長だ、課長だ、役員だなんて言ったって、しょせん鍋の中で昆布とちくわが、どっちがえあらいかなんて言い合っているようなもんだ。考えてみ、このおでん屋じゃ牛スジが一番高くてエラそうだけど、他の食い物屋行けば使っちゃもらえない。こんにゃくはここじゃ安物だけど、味噌田楽の店にいけば堂々のエリートだよ」
なんだかよくわからないたとえだった。どうせこの場でおもいついただけの言葉に違いないのだけれど、とりあえずうなづいた。
「ちくわぶはいってみりゃ専門職。天職を見つけたってやつだな。よそには行けないけれど、おでんのなかでは存在感を示すことができる。似ていても、ちくわはよそに転職が可能だ。そう考えてみれば、簡単だろ。お前がこのじゃがいもだとする。おでんの中ならただの平社員だ。でも肉じゃがの中なら共同経営者だよ。ジャガバタなら押しも押されもせぬ社長。社員はバターと塩だけだけれどな」
「なるほど」
「会社の序列なんて、たいした順番じゃないんだよ。一歩外にでたら、ころりと変わっちまうかもしれない。でも、子供の時から一生懸命に競走して、ようやく手に入れた順番だからね、そこから落ちこぼれたくないんだな」
カウンターに置かれた新しい坂をひとくちすすってから篠崎は首を振った。
「みんな、何が怖いんだろうな……人のことは言えない。俺もだよ……おれは何がこわいんだろう」
篠崎はいつも、謝罪の為のお金をちょろまかしては競艇に使ってしまうダメなおっさんである。そんなダメなおっさんが、妙にしんみりとして言う言葉に、当時はこれ以上ない程リアリティを覚えた。
この直後、仲間の一人が死んでしまう。
会社の理不尽によって殺されたのだ。
人は不条理によって殺される。そして不条理は世の中に満ち満ちている。

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これを読んだ時の私は、絶対にサラリーマンにはなりたくないと思った。それでもやはり、そうなってしまった。
ばかばかしくも逃れられない何かを、この小説は最後に笑い飛ばしてくれる。
「おでん鍋なんか飛び出しちまえばいいのに」

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