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二分の一の騎士

8514764635_fc68168b44_b 僕たちはきっとうまくやれる。ぼくなら、きみを守る本物の騎士になれる
個人的にもっと売れてほしい作家に、初野晴がいる。
特に「二分の一の騎士」という本は信じがたい程に面白かった。
冒頭いきなり、主人公であるマドカは恋に落ちている。しかも、恋した相手に勝手にサファイアなどと命名している。この時点で私は読む気をなくしたのだが、少し我慢して読んでいくと、話は意外な方向に進んでいた。
マドカは生粋の同性愛者なのである。
なので、恋した相手は女子高生である、と思っていたら女装した男だった。というより幽霊だった。
と言った感じで、話がポンポン進む。頭の整理がつかない状態で話が進んで行くのだが、妙な勢いで話にのめりこんでいってしまうのだ。
サファイアは幽霊であるのでとても弱く、何もできない。ホームズよろしく知恵でマドカを助けるのだ。最弱にして最強の騎士、それがサファイアである。
そう、この話はある種の探偵小説だったのだ、ということに読んでいるうちに気づく。
作者の初野晴さんは、横溝正史大賞を受賞したミステリー作家なのだから、当たり前のようにミステリーなのだが、サファイアとマドカのやりとりを見ていると、変わった学園物だという感じがしてくる。
話の軸は、サファイアとマドカが、4人の犯罪者たちと戦っていく点にある。
「ドッグキラー」
「インヴェイジョン」
「ラフレシア」
「グレイマン」
どんどん凶悪化していく犯罪者達に反比例するように、段々とサファイアの存在が消えて行ってしまう。
何のへんてつもない地方都市で、何の能力も持たない女子高生が、何もできない騎士と二人で、人知を超えた犯罪者と戦う。
ドラゴンボールでもなんでもそうだが、一番面白いのは、主人公側が敵より圧倒的に弱い話である。主人公たちが圧倒的劣勢をいかにしてくつがえすのか?



1/2の騎士 (講談社文庫)

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最近の少年漫画になくなってしまった要素が、この小説にはつまっている。
特に最強の犯罪者「グレイマン」との戦いは圧巻で、敵の存在は分かっていても、まるで姿の見えない、犯罪が行われていることさえ知られない最強のサイコパスシリアルキラー「グレイマン」を相手に、ほとんど息もできない程に弱ったサファイアと、ぜんそくもちで必ずしも体が丈夫とは言えないマドカがどうやって勝ちを収めるのか、是非読んでいただきたい一冊である。

全然関係のない話であるが、私も横溝正史大賞に応募したことがある。結果は最終審査の一個前で落ちてしまい、それ以来、何年も何も書けていない。
こんな素晴らしい本を書ける作者がうらやましいと思ってしまう。
作者が書きたいものを全て凝縮した一冊、それがこの「二分の一の騎士」なのだと思う。
いつか、私にもそう言った一冊が書けるようになるのだろうか…

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