スポンサードリンク

カードローンと金利の関係~銀行のカードローン残高が急増したのはなぜか?~

先日、銀行のカードローン残高が5年で1.5倍になっているというニュースが話題になりました。

カードローンというと消費者金融のイメージが強いですが、2015年には銀行カードローンの残高が消費者金融の残高を抜くという現象が起きています。

今回はそうなった背景についてみていきましょう。

銀行カードローンの審査は消費者金融が担当していることが多いので…

 

1970年代ごろから銀行による無担保ローン分野への進出は始まりました。

結果的には銀行側に多額の赤字がでてしまい、80年代になるころにはほぼ全面撤退、2000年代まで無担保ローン分野においては消費者金融の天下が続きます。

このころの消費者金融はサラリーマン金融、略してサラ金と呼ばれており、ピーク時は年率で100%を越える無茶苦茶な金利での貸し出しを行っていました。当時はバブルだったためそこまで問題になることはなかったのですが、バブルが崩壊し、銀行の貸し渋り貸しはがしなどに遭った人たちがこぞってサラ金に借金をした後、多くが命を絶つという状態が10年以上も続くことになります。

そのような状態になってしまった背景には法制度の不備があり、無担保ローン貸付を対象とする貸金業法が成立したのが1983年の話。それまでは出資法という法律が無担保ローンの金利を規制しており、貸金業法の成立した1983年までは驚きの109.5%、1983年には73%、86年に54,75%、92年に40.004%、2001年になってようやく29.2%、ようやく上限金利が20%になったのはなんと2006年の話です。

法整備が遅れたのは皆さんご存知財界と政治が癒着している結果で、こんな素晴らしい国に住んでいること自体が泣きたくなるような話ですね。

古代メソポタミアでは、稲を貸す際に20%を越える利子を取ることを禁じた法律があったことが出土した粘土板の内容から明らかになっています。それから4000年以上経って我が国ではようやくそれが実現されたわけです。さすがは美しい国日本ですね。

さて、2006年には上限金利が20%となったわけですが、それは貸金業法上の話で、もう一つ利息制限法と呼ばれる法律が存在していました。その利息制限法によると上限金利は20%。つまり、2006年以前の借入に関しては29%の金利で貸し出していたので、差額分があるわけです。この差額分は「グレーゾーン金利」と呼ばれ、経済界はそのまま自分たちのいいように解釈し、暴利をむさぼっていたのですが、2006年1月裁判所がついに歴史的な判決を下し、各金融機関は利息制限法、すなわち20%を越える(貸出金額によっては18%、15%)貸出で得た利益は返還する必要があるという司法判断が下されたのです。

ここに目を付けたのが弁護士および司法書士たちです。

折しも司法制度改革の後でしたので、少額訴訟においては司法書士でも行えるようになりましたし、司法制度改革によって弁護士が増えすぎたことも相まって、特に消費者金融を対象とした過払い請求訴訟が次々と行われるようになったのです。

その影響で当時最大手だった武富士は2010年に会社更生法の手続きを踏み、アコムは三菱UFJグループ、プロミスは三井住友グループに拾われる形でなんとか生き延びる結果になり、2003年には20000を越える貸金業者が20013年には2000を下回る数にまで減らしたのです。

そしてその代わりに台頭したのが銀行カードローンです。

特にプロミスを傘下に加えた三井住友銀行の伸長は目覚ましく、現在カードローン残高でトップを走っています。

その秘訣は広告露出度もさることながら審査のスピードです。

三井住友銀行および三菱UFJ銀行カードローンは即日融資を売りにしており、その日のうちに借りられることも珍しくありません。これは、それぞれのカードローン審査をアコムおよびSMBCコンシューマーファイナンス(2012年にプロミスが社名変更)が担当していることがポイントで、レーベルこそメガバンクですが、実質は消費者金融のカードローンだということが言えるのです。

 

銀行カードローンが伸びたのはイメージだけが原因ではない

銀行カードローン残高が消費者金融カードローン残高を越えた要因の1つにイメージ戦略があります。

消費者金融から借金というと、何か悪いことをしているような後ろめたさが残りますが、銀行からの借金はしていない人の方が多いと思います。

借入までの心理的なハードルの低さも要因の1つではあると思います。

しかし、それ以上に大きいのは「金利」の問題です。

例えば、4大消費者金融の貸出金利は以下のようになっています。

サービス名 金利(実質年率) 借入上限額
モビット 3.0%~18.0% 800万円
プロミス 4.5%~17.8% 500万円
アイフル 4.5%~18.0% 500万円
アコム 3.0%~18.0% 800万円

対して3大メガバンクの貸し出し金利は以下のようになります。

サービス名 金利(実質年率) 借入上限額
三井住友銀行 4.0%~14.5% 800万円
三菱UFJ銀行(バンクイック) 1.8%~14.6% 500万円
みずほ銀行 3.5%~13.5% 1000万円

カードローン金利は上限金利が適用されることが多いと言え、上限金利は軒並み銀行カードローンの方が低くなっています。

これが銀行カードローン残高が増えた最大の理由です。

 

カードローンと金利の関係

ようやく本題に入ります。

カードローンに限った話ではないのですが、あらゆるローン金利は貸出時のリスクに比例します。

カードローンの金利は消費者金融を始めとした貸金業者の場合は上限18%前後、銀行カードローンでも14%前後となります。

住宅ローンや自動車ローンに比べると何倍もの金利設定ですよね。

これは、住宅ローンや自動車ローンに比べてカードローンは貸出のリスクが高いからです。

カードローンは無担保かつ保証人のないローンですので、貸出側のリスクは非常に高く、いわゆる焦げ付きの可能性が高いのです。

かつて銀行が無担保分野の進出に失敗したのもこれが理由で、与信ノウハウを持たない銀行は多額の焦げ付きを出してしまい、撤退せざるを得ませんでした。

ではどうして現在は銀行はカードローンサービスを提供しているのか?

どうして銀行カードローンは貸金業者のカードローンよりも金利が低い、すなわち貸出のリスクを抑えられるのか?

この点を紐解く鍵となっているのが「保証会社」制度です。

銀行のカードローンの申込条件には例外なく「保証会社の保証を受けられる方」という文言が存在しています。

保証会社というのは銀行に代わってカードローン審査を行い、かつ審査通過者が返済不能になった際には債務者に代わって銀行側へ代位弁済をする保証業務を担当し、無事に返済された場合には利息の何%かを保証料として受け取る会社のことを言います。

さて、ここで勘の良い方はお気づきかも知れませんが、消費者金融のカードローンにおいて、債務者が返済不能になったら消費者金融が損害を被る。一方銀行カードローンにおいて債務者が返済不能になったら保証会社が損害を被る。現在銀行カードローンの多くは保証会社に消費者金融を採用している。

すなわち、消費者金融カードローンよりも銀行カードローンの方が貸出リスクが低いのです。それゆえに銀行カードローンの方が金利が低いということになり、多くの借入希望者が消費者金融ではなく銀行カードローンへの申込を行うようになりました。

 

銀行カードローンには総量規制が適用されない

現在最も議論が活発に行われている部分です。

消費者金融、クレジット会社、信販会社においては先述した貸金業法による規制があり、中でも決定的に打撃を与えたのが「総量規制」だと言われています。

総量規制というのは、2010年の貸金業法完全施行の際に規定されたもので、簡単に言うと貸金業者は借入の申込があった際に年収の3分の1を越える貸付を行ってはならないという決まりです。

以前の貸金業者は対象者の人生が崩壊しようがおかまいなしに貸出をしており、その分暴利をむさぼっていた訳ですが、2010年以降はそうもいかなくなりました。

ところが、銀行カードローンは銀行法の対象にはなりますが、貸金業者ではないので当然のように総量規制の対象とはなりません。

今回金融庁が問題にしているのはこの点です。

総量規制は消費者保護のための規定なのに、銀行が守らなければ意味がないということですね。

銀行は民間企業は蟻の如く踏みつぶす傾向にありますが、国家権力には平身低頭するのが特徴ですので、果たしてどうなるでしょうか。

スポンサードリンク




管理人が運営しているサイト

管理人が運営している教育系サイト