経済大国アメリカには、エクセレントカンパニーと呼ばれる会社が何社かある。
これは、トム・ピーターズとロバート・ウォーターマンによって書かれ、大前研一によって邦訳されたビジネス書の名前からきており、次の条件を満たす企業とされている。
1. 行動の重視
2. 顧客に密着する
3. 自主性と企業家精神
4. ひとを通じての生産性向上
5. 価値観に基づく実践
6. 基軸事業から離れない
7. 単純な組織・小さな本社
8. 厳しさと緩やかさの両面を同じに持つ
なるほど、と思わせる条件である。
世界中でも、この全てを満たしている企業は少ないのではないかと思う。
エクセレントカンパニーには、IBMやウォルマート、GEやコカ・コーラなど誰でも知っているような企業が並ぶ。
その中でも私が一番すごいと思うのは、プロクター&ギャンブル(P&G)である。
身近過ぎてその凄さに気が付かないP&Gは、1837年蝋燭業者のプロクターさんと、石鹸業者のギャンブルさんが共同出資してできた会社。
設立のきっかけは、蝋燭も石鹸も原料は同じであったことだそうで。
1837年と言えば、南北戦争(1850年代)よりも前の話、アメリカが経済大国とはかけ離れていた頃である。
南北戦争前後で急速に売り上げを伸ばし、社員持ち株制度をアメリカで初めて導入者のも同社なのだとか。
その後も順調に売り上げを伸ばし、二次大戦直後の1946に洗濯用洗剤「タイド」がヒットし、今でも売れている「パンパース」などのブランドを次々発売、日本やヨーロッパに市場進出しこれも成功。1946年から1980年までで、売り上げがなんと35倍に増えたのだとか!!
その後も「パンテーン」「ウィスパー」「アリエール」「ファブリーズ」…etc、誰にでもおなじみのヒットブランドを次々に発売。ジレットやマックスファクターを買収するなどし、現在では世界180か国に事業展開する世界最大の消費財メーカーである。
100年続く企業は少ない。
いまから100年前といえば、日露戦争が起こった年である。その頃からトップ企業である会社が、一体いくつあるだろうか?
この会社がここまでの成長を遂げたのは、この会社の人材育成に秘密があるだろうと思う。
アメリカのフォーチュン誌は、P&Gを最も社員の能力の優れた会社としてほめたたえた。
企業は人なり。
P&Gは採用にとても時間をかけることで有名だ。
いくどとなく面接とGD(グループディスカッション)を繰り返し、最後は実際にインターンで人を見て採用を決める。
コストはかかるが、ミスマッチは少なくてすむ。結果的に離職率なども低くなるだろう。
採用後の研修制度も充実している。詳しい内容はこちら↓
http://pgsaiyo.com/career/formation/index.html
1948年、P&G米国本社の会長であったリチャード・R・デュプリは言った。
「もしわが社からお金とビル、ブランドを全て取り上げられても、社員さえいれば、10年ですべてを元通りに再建できる」
日本の愚かなブラック企業経営者に聞かせたい言葉である。
去年の話になるが、私はアメリカ株を購入することに決めた。その経緯はここでは省略しますが、いくつかの候補に絞り込んだ。具体的には、
・GOOGLE
・FB(フェイスブック)
・MMM(スリーエム)
・エクソンモービル
・コカ・コーラ
・プロクター&ギャンブル
である。
投資するのは一社だけにしようと思っていたので、とても悩んだ。どれも凄まじい会社だ。あらゆる面で決め手に欠けたが、最終的には
・GOOGLE
・P&G
の二つに絞った。
P&Gは、先述した魅力に加え、60年近く増配を続けている点が非常に魅力的であった。
増配とは、企業が株主に利益を還元する制度である。増配し続けるということは、すなわち利益を出し続け(リーマンショック時でも)、成長し続けたということであり、その姿勢を現在も続けていると感じられた。
一方でグーグルは面白そうだった。グーグルは無配(配当がない)である。株式分割の噂もある。しかし、グーグルの株を持つのは楽しそうである。
かなり悩んだ挙句、P&Gにした。決め手は、先述した昔の会長の言葉である。
かなり悩んでの投資であったが、買った直後株価がかなり値下がりしてしまった。選定に漏れた株は軒並みあがった。グーグルは上場企業初の一株1000ドルを超え、さらに上がって行った。私が買おうとしたのが900ドル前後の時だったので、買っていれば一株100ドルも利益を得ていた計算になる。ちなみに、今売ったとしても、一株100ドル以上の利益は出る。為替の相場も考えると、一株あたり11400円の利益が出ていたことになる。
さすがに落ち込んだ。
が、現在ではかなりの利益になっている(他選定株も同様だが)。
一株82ドル(1ドル=100円弱)で買った株は、現在88ドル(1ドル=114円)になった。手数料、税金を考えなければ、一株につき700円弱の利益がでている計算になる。
問題なのは、いつ売るのかどうかだ。
現在は売り時である。どんなに素晴らしい株式も、売り時を間違えると損をする。
アメリカの大富豪ウォーレン・バフェットは、「コカ・コーラ」の株式を永久保有銘柄とした。
さて、どうしたものか。。