映画になったり様々な会社とコラボしたり、相変わらず露出度の高い進撃の巨人の72話感想です。
ようやく舞台が動き始めた
今週は、タイトルにもあるように作戦前夜と言った感じでしたね。
今回のテーマは「喪失と復興」なのかな? と勝手に思いました。
何においてもそうですけど、失った何かというのは本来の何かには戻らないんですよね。
ある意味別の何かに生まれ変わる訳です。
壁内だけの話じゃないですが、人類というのは恐ろしい程の「復興力」を持っていると思います。
日本だって戦中焼野原になった所から20年後にはオリンピックが出来るくらいになった訳で。
久々のジャンとエレンのケンカも何か復興の前触れを象徴しているようにも思えますね。
一方で、ライナーやベルトルトとの仲はもう復興できないのかも知れません。
どうなんでしょう?
このタイミングでアニが主人公の「進撃の巨人LOST GIRLS」が始まったのも何かを狙ってのことなのかも知れません。
進撃の巨人ではアルミンやミカサ、エレンの心情描写はあってもベルトルト、ライナー、アニの心理描写はほとんどなかったので、一体かられがどのような意図で動いていたかは不明です。
「無関係だから殺せるんじゃないかな?」
これは少年ジャンプで絶賛休載連載中のハンター×ハンターの登場人物のセリフですが、人間というものは自分とは無関係の人間を平気で殺せる生き物です。
戦争になれば異国の人間を、異教徒を、あるいは同じ民族でも、平然と人を殺し始めます。
これは、自分とは全然関係のない人間だから出来るのだと思います。
アニにしてもライナーベルトルトにしても、壁内の人間達が自分たちとは全然関係のない人間達だからできた訳です。
でも、そこに関係性が出来てしまってからは自分たちの使命に疑問が出てきたのでしょう。
「壁内にこんな奴らがいるなんて知らなかった」
それでも自分たちの使命を全うしようとした訳で、そこには何か大きな理由があるのでしょう。
躊躇なく人を殺せる程の理由。
それが、シガンシナのグリシャ家の地下に眠っているのでしょうか?
長い長い時間がかかり、ようやく人類側の反撃が開始される訳ですね。
「言ってはいけなかったこと」
「グリシャ氏が言いたくても言えなかったこと、つまり初代レイス王が我々の記憶から消してしまった世界の記憶」
グリシャを始め、壁外には脈々と歴史が受け継がれているのでしょう。
「おのれ悪魔の末裔め!!」
ベルトルトが放ったセリフですが、初代レイス王が何らかの「罪」を犯したのは間違いなさそうです。
それが何なのか? それを歴代レイス家が秘匿していたのは何故なのか?
エルヴィンの父親が偶然気づいてしまったが故に消されてしまった事実。
それと関係があるのは確かでしょう。
エルヴィンが何を話してしまったのかは未だ謎ですが、
「巨人は人だった」
という事実を含む仮説だったようなので、何か核心に迫ったものだったのでしょう。
そもそも巨人が元々は人類だったのなら、人類を巨人に変えた勢力が存在していたはずです。
その勢力が壁内のレイス王であり、レイス王の魔の手からなんとか生き延びたのが壁外人物だとするとベルトルトの言ったことも少し分かるような気がします。
ある時誰かが、人類を巨人に変える薬を手に入れた。
その薬には2種類あり、一つは知性を保ったまま自在に人に戻れる知性派巨人になれる薬、もう一つは完全に自我をなくしてしまう薬。
もしかしたら元々2つの勢力は無知性巨人を兵士として使っていて、ある時知性派巨人になれる方法を編み出したのかも知れませんね。それは壁外に知性派巨人が多いことから考えるに、レイス家に敵対していた勢力だったのでしょう。
劣勢に立っていた壁内人類はある時巨人を操れる力に目覚めます。それが科学的なものなのか血統的なものなのかはわかりませんが、受け継がれるものでかつ強力な能力なのは確かでしょう。
叫びの力をもって闘いに勝利をしたレイス家ですが、その犠牲は大きく人類の大半を巨人にしてしまいました。一度巨人になると元に戻れる方法はなく、レイス家の初代王はそれらを見捨てる決意をしました。
そして、叫びの力をもって超巨大巨人を操り巨大な壁を作った。
こんな妄想いかがでしょう?
憧れの喪失
ハンジさんの怒りは、憧れへの喪失が原因だったのですね。
今週のエルヴィンへのまなざしを見ても、ハンジさんはわりと何かに心酔しやすい人なのでしょう。
私も少し分かる気がします。
私もかつてあるジャーナリストの本にはまり、30冊ぐらい読んでいるうちに「あれ?おかしいな」となり、結局現在ではその経歴はほとんど詐称で書いてあることの大半は嘘だったということがありました。
完全なる黒歴史ですが、やはり激しい憤りとやるせなさを持った記憶があります。
ある意味、そんな人物にあこがれを持ってしまった自分への憤りなんですよね。
アンチは元々ファンだという言葉がありますが、そんな感じですね。
ハンジさんはキース団長にあこがれをもっていたんですね。
キースは前回の話では結構ボロボロでしたが、巨人と20年間闘い続けて生き延びた人物です。
1年で9割が死ぬ調査兵団で20年以上も生き延びた訳ですから、アッカーマンを除けば最強の人類なのかも知れないですね。
そんな人物が、自分は特別じゃない、なんて言ったらそりゃあないぜと思いますわな。
諌山先生も私と年が近いので、結構似た経験をしているのだと思います。
私が幼少の頃は、バブルが終わるころでした。
繁栄を享受してうかれていた時代でもあり、これからもっとよくなるという楽観論の蔓延していた時代です。
でも、そのバブルが崩壊して、今まで信じていた価値観が崩壊して、さまざまなもののメッキがはがれて行きました。
テレビで仲のよさそうだった理想の相撲取り家族の像は実は虚像でマスコミが作り上げたものだったり、繁栄は実はハリボテ程度に過ぎなかったり。
私を含め大衆は作られた虚像であるテレビを真実だと思い、大きな何かにあこがれていました。
でも、あこがれていたものは須く作られた虚像でした。
現在テレビの視聴率が悪いのは、趣味が多様化したからでもなんでもなく、未だにバブル期の幻想よろしく作られた虚像を垂れ流しているからだと思います。
多くの人がハンジさんのように、マスコミや国家に憤りを感じている。そんな感じではないでしょうか? 少なくとも私はそうです。
名前の意味を考えてみる
今更ながら、それぞれのキャラクターの名前には何か意味があるのかも知れないと、今週の「LOST GIRLS」を読んでふと思いました。
文学上のモチーフの一つに人物の名前に比ゆ的な意味をこめるというのがありますが、進撃の巨人にもそれが当てはまるのかも知れないですね。
アニ=レオンハート
レオンはドイツ語でライオンのことなので「獅子の如く雄々しく気高き心」という意味になります。
歴史上には「リチャード・ザ・ライオンハート」という別名を持つ人物がいます。第3回クルセイダース(十字軍)にてイスラムの英雄サラーフ・アル・ディーン(サラディン)と闘った人物ですが、勇猛で恐れを知らなかったことからこの名前付いたといいます。
アニは確かに、獅子のような心を持っていますよね。
エレン=イェーガー
イェーガーは「狩猟者」という意味があり、おそらくは「巨人を狩る者」という意味なのでしょう。
「駆逐してやる」
リヴァイ=アッカーマン
リヴァイは、「リヴァイブ(再生)」から来ているのでしょうか?
滅びかけた人類の劣勢から人類を再生させる役目でしょうか?
調べたら、ヘブライ語で「Rivai」は矛盾という意味があるようですね。
ミカサ=アッカーマン
ミカサは戦艦「三笠」から来ているようですね。
かの東郷平八郎が座していた船で、こちらも劣勢を覆して勝利をするという意味の暗喩でしょうか?
ベルトルト・フーバー
ベルトルトは、ドイツ語で光り輝くという意味のようですね。
フーバーはアメリカの大統領フーバーからでしょうか?
フーバー大統領と言えば世界恐慌の時に「フーバーモラトリアム」をだしたことで有名で、日和見主義者として現在では評価されることが多いですね。
ベルトルトの「僕には自分がない」という発言をみても、割と近いのかも知れないですね。
FBI長官だったエドガー・フーヴァーだと盗聴好きのスパイ人間というイメージがあるので、こちらもあるのかも知れないですね。
ヒストリア=レイス
ヒストリア=歴史
レイス=亡霊
歴史の亡霊、亡霊の歴史、どちらでもあてはまりそうですね。
父を作殺したり母を目の前で殺されたり、レイス家として王の役割を期待されたり作中でもトップクラスに重い役割を与えられていますね。
ユミル
名前に最も意味のあるキャラクターはこのユミルかも知れませんね。
北欧神話の巨人。
ギリシャ神話のクロノスなどもそうですが、古代の神話には巨人族を倒して世界を切り開くという話が多いです。
北欧神話の世界はユミルから始まって終末の時ラグナロクで終焉と再生を迎える。
唯一古代に絶えてしまった文字を読めるユミルの存在は進撃の巨人の中でも異質です。
知性派巨人でありながら戦闘力はそこまで高くないですし、素性から何から不明で、グリシャと並ぶほど謎の多い人物です。
知性派になる前はどのように巨人になり、どのような歴史をもっているか恐らく知っているであろう人物。
今どうしているんだろう?
調査兵団に勝ち目はあるのか?
戦力的にみると、3対多数ですが、調査兵団側の戦力は圧倒的に下だと言えるでしょう。
人類を圧倒的恐怖に叩き落とした超大型巨人とヨロイの巨人に加え、その2体が挑んでもまるで歯が立たない猿の巨人。
猿の巨人には多少なりとも巨人を操れる力もあるようですし、何より戦闘能力がとんでもなく高そうですね。
女型の巨人を圧倒したリヴァイ兵長でも、さすがに厳しいような気がします。
現状わかっている強さを妄想も含めて比較すると、
ウーリ巨人>>>>ケニー・アッカーマン
ケニー=リヴァイ
猿の巨人>>>>鎧の巨人
リヴァイ>>女型の巨人
グリシャ巨人>>>フリーダ巨人
猿の巨人>>>>>>>>ミケ・ザカリアス
こんな感じですかね。猿の巨人が壁内に入れるにも関わらず今まで手を出さなかったことを考えるとレイス家の巨人には敵わないのでしょう。
また、猿の巨人側が3体だけとは限らない所もポイントですね。
来るとわかっている敵を待ち伏せるのに、3体だけで闘うとは思えません。
また、エレンの持つ叫びの力を知っているはずなので、周りから巨人を排除しておくことでしょう。
勝ビジョンが見当たらない…
LOST GIRLS
アニが主人公のスピンオフ。
原作も諌山先生ということで、正式に進撃の巨人の一部とみてよいでしょう。
アニの心情描写がなされるのは多分始めてですね。
本編では結晶化したアニですが、やはり核となるのは父とのこと。
「この世の全てを敵に回したっていい。この世の全てからお前が恨まれることになっても、父さんだけはお前の味方だ。だから約束してくれ。必ず帰ってくるって」
ライナーもそうですが、アニも数々の内面的葛藤を抱えながら故郷に帰ることだけを考えて行動していますね。
それでも、アルミンを生き残らせたり、「私は戦士になりそこねた」という発言をしたり割とブレてしまっている部分はあるのでしょう。
そのあたりをこれから描写してくれるのでしょうか?
それにしても、壁内には大学があったんだ…
それも化学科が存在している。
にも関わらず、壁内の技術はある意味で停滞しています。
立体起動装置など一部の技術は進歩しているようですが、壁内の技術は100年間それほど進歩していないような気がします。
ウドガルド城にはなぜか缶詰があったりガスを利用したりできるほどの技術力があったり、電気や蒸気機関こそないものの、一度は繁栄していた文明が技術的に退行しているようにさえ思えます。
最初のタイトルである「2000年後の君へ」との関わりも含め、進撃の巨人の時系列が気になるところです。
「ニシン」と思われる字をユミルは読めてライナーは読めない。
ユミルもアニもミカサも同じ言語を話している。
ユミルだけ違う文字が読める。
これが一体何を意味しているのかは不明ですね。
話し言葉は同じなのに書き言葉が違う民族というのは基本的に存在していません。
日本語と中国語は書き言葉は似ていて話し言葉は全然違います。
それは日本語は原初において話言葉はもっていても書き言葉をもっておらず、中国語を当て字にしたためです。
あえて近い例を挙げると、クロアチア語とセルヴィア語が挙げられるかも知れません。
両言語とも話言葉はほぼ同じですが、使っている文字が違います。
クロアチア語が基本的にラテン文字(古代ローマに由来する文字)を使うのに対し、セルビア語はキリル文字(ロシアなどで使われている)を書き言葉として使うため、話すと通じるのに書くと通じないという現象が起こるようです。
その原因は、元々1つの民族であったものが、別々の国家の支配をうけるようになったことが原因だと考えられています。
壁外と壁内だけではなく、その他にも異なった勢力なり民族がいるのかも知れません。
結局、よくわかりませんね(@▽@)