あまりにも絶望的な戦力差の両陣営
完璧な絶望なんてない
リヴァイの息切れ
今回の作戦が始まって以来、リヴァイはずっと息切れをしていますね。
女型の巨人と闘った時には息切れ一つしていなかったリヴァイが、猿の巨人と闘う前から息切れしています。
一歩間違え石つぶてで命を落としかねない程の油断をしていました。
特にリヴァイが疲労をするような伏線の描写もなかったので、この点は大いに疑問ですね。
ケニーが残した注射と何か関係があるのでしょうか?
今回エルヴィンが指摘したように、調査兵団側は、もとい人類側の戦力は新兵とリヴァイ、そして残りの104期だけです。
エルヴィンはもう戦力にはならないでしょうし、ハンジさんも生きていても戦闘は難しいかも知れません。
敵は通常巨人をものともしない猿の巨人に、覚醒した超大型巨人、もしくはもっと多くの知性派巨人、それもより熟練度の高い連中が控えているかも…
絶望的な戦力差を覆せるのか?
これが少年ジャンプ連載の漫画であったなら、読者の楽しみは「どうやってこの絶望的な差を埋めるか?」という点になるでしょう。
絶望的に強かったフリーザや大魔王バーン、時を止める能力者など、どう考えても勝てない相手への挑戦が少年漫画の1つのモチーフです。
主人公側には価値が求められています。
マキバオーのように最後は負けてしまう漫画もありますが、重要なのは「如何に勝つか」です。
でも、進撃の巨人は勝ちを約束された漫画ではありません。
このまま人類側がなす術もなく負けて行く展開も十分にありえます。
猿の巨人は明らかにリヴァイよりも戦闘能力が高く、超大型巨人に対しエレンは対抗する術をもっていません。
キーポイントは叫びの力「座標」
この絶望的な戦力差をひっくり返せるとしたら、それはエレンの持つ「叫びの力」に他なりません。
全ての巨人を恐らくは意のままに操れるその力。
これほどまでに圧倒的な力を持つ壁外勢力が長い間壁内侵攻をしなかったのはそのためでしょう。
ライナー・アニ・ベルトルトの第一の任務も「座標の改修」であったようです。
もしかしたら、グリシャ・イェーガーの任務もそうであったのかも知れません。
グリシャは壁外から来ている人物です。
壁内にはない医療技術をもっていますし、どういう訳かごく一部の人間にしか知りえないレイス家の秘密を知っていました。
ウォール教関連者やサネス達が命を賭してまで守ろうとしていた秘密をどうやって知ったのかはわかりませんが、グリシャは「座標」にたどり着きました。
ほぼ時を同じくして壁内侵攻が始まったのは偶然でしょうか?
でも、そうだったとしても、わからないのがグリシャがどうしてエレンにそれを託したのかということです。
純粋な戦闘力で言えば、エレンの巨人よりもグリシャの巨人の方が高そうです。
それこそキースの言ったように「お前がやればいいだろう?」と言った感じですね。
そして、グリシャは故郷に対して反旗を翻したことになります。
妻を殺されたことによるものでしょうか?
グリシャはそのまま座標を壁外に持ち去るつもりだったのかも知れません。
でも、妻が殺されたことで気が変わった。
そして何らかの理由でエレンにその力を託した。
アルミンとジャン
アルミンは作者の分身。
そう思えるほど、超常的な知能を持っていました。
アニの正体を見抜き、ライナーとベルトルトの正体をも見抜き、今回もライナーの居場所を突き止めました。
一方のジャンも、マルコが言うように指揮官としての才能を開花させつつあるようです。
ただ、今回の選択はどちらが正しいのかまだわかりませんね。
アルミンの言ったように、超大型巨人は消耗させて倒すのが一番よさそうです。
12巻でベルトルトが超大型になれなかったところを見ると、超大型になるのには「溜め」が必要なのでしょう。
そうそう何回もなれるものではなさそうです。
でも、そうなるとミカサ並の戦闘力とアルミン並の知能を持つベルトルトを相手にしなければなりませんが…
それにしても、あれだけジャンと反目していたエレンが素直にジャンの言うことに従っているのは感慨深いものがありますね。
表題「完全試合」の意味
進撃の巨人の特徴の一つに、意味深な表題があると思います。
「2000年後の君へ」からして意味深です。
今回の「完全試合」にも何か特別な意味があるのでしょうか?
1つは単純に「壁外には野球がある」ということですね。
コーヒーもあるようです。
でも「ニシン」の存在や「猿」の存在は知らないようです。
猿の巨人がいるのに猿を知らない。
この辺りには大きな意味があるのかも知れません。
壁内と壁外、そしてユミルの民。
これらは言語は共通しているようですが、少しづつ差異がありますね。
もっとも、猿の巨人のセリフからして言語も違うのかも知れませんが。
ユミルにだけ読める文字もあるようですし。
外を徘徊している巨人はおそらくユミルの民なのでしょう。
イルゼの日記に出てきた巨人が「ユミル様」と言っているのはそのためかと。
壁内の人間、あるいは初代王はユミルの民を巨人化させて壁外勢力との戦いに勝利したのかも知れません。
あるいは壁内も壁外も人を巨人化させる術をもっていることから闘いはこう着、先に強力な叫びの力を持った壁内の初代王が勝利をし、壁を作った。
ただ、ユミルが壁外をさまよったのがおよそ60年程で、壁は100年前に作られたらしいので年代が合いませんね。
あるいは、その辺りからして記憶を操作しているのかも知れません。
壁が作られてから実は100年も経っていなっかったり。
ケニーが大昔の人物として扱われていたのも記憶操作の賜物であったのかも。
ケニーは実際何歳ぐらいで亡くなったのでしょうか?
リヴァイと暮らしていたケニーは、まだ若かったように思います。
「完全試合」の話に戻します。
「完全試合」を達成するためには、1人の走者も出してはいけません。
ヒットを打たれるのはもとよりフォアボールやデッドボールも許されません。
仮にライナーかベルトルト、4足歩行の巨人が死んでもダメでしょう。
逆に言えば、それ以外の人間がいくら死のうが問題ないということでもあります。
今回の作戦で登場している巨人は元々壁内の人間だったんですよね。
なので、調査兵団が倒していたのは元々壁内の人間だった訳です。
同士討ちなんですよね。
これ以上ない不毛な戦い。
同士討ちをさせるだけさせて最後に一気に漁夫の利を得る。
これこそまさしく、パーフェクトゲームだと言えそうです。