まさに神回
漫画を読んで心が打ち震えたのはいつ以来だろうか?
このどうしようもない残酷さ
これが、進撃の巨人だ…
エルヴィンとリヴァイ
今月のリヴァイは最高に恰好よかった。
「獣の巨人」は俺が仕留める
私が女性だったらホレていた。
女性じゃないけどホレそうだ。
リヴァイには2つの選択肢があった。
1つはリヴァイ自身が言ったように自身が犠牲になってエルヴィンとエレンを逃がす方法。
もう1つはエルヴィンを犠牲にする方法。
正直、リヴァイとしては自分が犠牲になる方が楽だっただろうと思う。
それが仮に根本的な解決にならなかったとしても。
白虎隊の例を見るように、生き延びる方が辛いということもある。
エルヴィンには夢があった。
全人類の未来と天秤にかけてもなお優先したい夢が。
この辺りは前団長のキースと対称的かも知れない。
本当にもう少し、手を伸ばせば届くところに答えがあるという所までようやくたどり着いた。
リヴァイの言う通り、エルヴィンにはまだ生き延びる選択肢も残されていただろう。
作中初めて、エルヴィンは情けの無い所を見せたと言える。
ため息をつき、泣きそうな顔で自分自身の願望を口にした。
人類の希望エルヴィン=スミス
彼にとって地下室の秘密、及び父の仮説が如何に大事だったかがよくわかる。
彼は父を死なせた。
彼は団員を死なせた。
きっとそう思っていることだろう。
そんなエルヴィンに、リヴァイは死んでくれとお願いした。
「俺は選ぶぞ」
文字通りの悔い無き選択
「俺には分からない。ずっとそうだ。自分を信じてみても、信頼に足る仲間の選択を信じてみても、結果は誰にもわからなかった」
選択は常に後悔を伴う。
何も捨てることができない人間には、何も変えることは出来ないだろう。
選択をしたリヴァイを見るエルヴィンの顔は、今までで一番いい顔をしていたと思う。
敵が強すぎる でも、倒さねばならないのだ
名作と呼ばれる漫画には、いくつかの共通点がある。
その一つが、敵と主人公側との圧倒的な戦力差だ。
ドラゴンボールのフリーザは最高の悪役だと言われる。
それは、当時の悟空たちから見て圧倒的に強かったからだ。
ダイの大冒険の大魔王バーンも強かった。
バーン自身は勿論、ハドラーやミストバーン、主人公の父親でもあるバランなど、魔王軍の力は圧倒的だった。
漫画ではないが、ドラクエ史上最高傑作と言われるドラクエ3もまた絶望的な戦力差だった。
最高のRPGと名高いゼノブレイドに関しては、世界そのものが敵になってしまった。
でも、それらが生ぬるく見える程、今回の戦力差は絶望的だ。
まず、猿の巨人が強すぎる。
たった1体いれば全人類を滅ぼすことができるのではないだろうかというぐらい強い。
通常の巨人ですら人類がどうにもならない程強いのに、それらが何百体いてもまるで相手にならないだろう強さ。
なぜか巨人のことも操れる。
仮にエレンが巨人を操れるとしても、倒せるような気がしない。
リヴァイはどうやって猿の巨人を倒すのだろう?
リヴァイに負けは許されない。
進撃の巨人がバッドエンドで終わることはありうる。
それでも、リヴァイが猿の巨人に負けることは許されない。
エルヴィンの言う通り、死んだ兵士たちはささげた心臓がどうなったかを知りたい。
個々にいたるまで、多くの犠牲を払った。
今週の描き方を見るにつけ、モブリットも死んだのだろう。
そしてそのこと以上に、リヴァイはエルヴィンに約束した。
獣の巨人は自分が仕留めると。
この約束は海よりも重い。
人はいずれ死ぬ
金持ちだろうがイケメンだろうがイチローだろうが名もなき兵士だろうが、人間は生まれながらにして死刑囚である。
人間は平等などではない。
役者の息子は役者になりやすい。
大企業の採用や公務員採用の大半はコネで決まる。
美人は優遇されるが、ブスは迫害され続ける。
努力する天才に努力する凡人は絶対に勝てない。
人は生まれながらにして不平等である。
ただ1点、必ず死ぬのだということ以外は。
どんなに夢や希望をもっていても、幸福な人生を送ることができたとしても、岩で身体を打ち砕かれても、人はいずれ死ぬ。
でも、我々は次を生きる誰かにその意味を託すことは出来るのかも知れない。
ベルトルトは、ミカサは言った。
世の中は残酷なのだと。
でも、それに抗う術がない訳ではなかった。
今週はある意味、進撃の巨人の最終解が出た回だったと思う。