少年誌上最も偉大な作品は?
という質問があったら、まず何よりも先に名前が上がるのがこち亀ことこちら葛飾亀有公園前派出所ではないだろうか?
集英社の「週刊少年ジャンプ」で1976年から連載が続く漫画「こちら葛飾区亀有公園前派出所(こち亀)」が9月17日発売の42号をもって、終了することが3日、明らかになった。同日、東京都千代田区内でイベントに参加した作者の秋本治さんが明らかにした。
引用元:日本経済新聞
少年ジャンプで連載し続けることの難しさ
少年ジャンプのシステムはシビアだ。
アンケートの結果によって順位が決まり、人気がなければ即打ち切り。
かつてスマッシュヒットを連載した漫画家さえも例外ではなく、過去にはボボボーボ・ボーボボの作者が書いたチャゲチャやシャーマンキングをヒットさせた漫画家のユンボルなどを10周以内に打ち切りにしている。
高校生の時、修学旅行で沖縄に言った際、たまたま立ち寄った定食屋でなぜかその時より3年ほど前の少年ジャンプが置いてあった。
たった3年であるはずなのに、残っている漫画は片手で収まるほどの数しかなかったのを今でも覚えている。
現在は割と長期連載が多くなってきているが、昔のジャンプは10巻出れば連載が長い方で、多くは3~4巻ほどで連載が終了している。
黄金期と言われる時代の少年ジャンプを代表する作品でさえ50巻には満たなかったほどだ。
幽遊白書:19巻
スラムダンク:31巻
ドラゴンボール:42巻
別紙だが、ドラえもんも42巻だったと思う。
これまた別紙だが、静かなるドンという893漫画も108巻でその歴史に幕を閉じた。
NARUTOも終わり、ブリーチも終わった。
数々の漫画が少年ジャンプを去っていく中で、こち亀だけは残り続けた。
他でもない少年ジャンプで40年にわたり200巻という巻数を達成したことは偉業以外の言葉が見当たらない。
100巻超えたあたりから、パワーダウンは免れなかったと思う
うちには本棚に40~100巻ぐらいまでのこち亀がある。
小学生から中学生ぐらいにものすごくはまっていて、暇があればこち亀を読んでいた。
このころの両さんはエネルギーがものすごく、常にG様相手に格闘し、勤務中なのに両耳で違うラジオの実況を聞きながらプラモデルを作り部長の動向を常に探るというおよそ人間とは思えない能力を発揮し、宝くじで億単位の金が当たってもすぐに使い果たし、兆単位の借金を抱えてるというとんでもない設定だった。
ラジオでなぜかキャンプファイヤーをしたりパラシュートなしで飛行機から飛び降りたりとにかくハチャメチャでパワーのあるキャラクターだった両さんが、100巻以降なんだかおとなしくなってしまっていたように思う。
特に独身寮を出て寿司屋に住むようになってからはそれが顕著で、この10年ぐらい実はあまりこち亀を読まなくなってしまっていた。
両さんにパワーがなくなったというよりも、読んでいる読者にパワーがなくなっていったのかも知れない。
こち亀全盛期、時代はバブルだった。
あらゆる事柄において日本はイケイケだったし、完全に調子乗り期だった。
オレニフカノウハナイ
みたいなセリフが流行っていた通り、誰もが明る未来を信じてやまなかった。
バブルが崩壊した後も、即座に日本人は自信を失った訳ではなかったと思う。
その後の長く続く不景気や古き良き部分のみが崩壊していく過程を見るにつれ、日本人はドンドン自信を無くしてしまっていた。
かつては力強い両さんを好んでいた我々には、強すぎる両さんはもはや眩しすぎる存在になっていたのかも知れない。
2016年は色々なものが終わる 終わりの始まりが始まったのかも知れない
まだまだ日数は残っているが、2016年はものすごい年だった。
かつてのヒーロー清原の逮捕にベッキーの不倫騒動、有名女優の子供逮捕など、言っては悪いがありがちな話は勿論、2016年はそこにあって当然のものが終わる年でもあった。
具体的にはSMAPとこち亀だ。
なぜだかわからないが、この2つは普遍的に存在するものだという意識があった。
細かい所ではさんまのまんまなんかも終わるし、ブリーチなんかも終わった。
近年では笑っていいともやNARUTOなんかも終わったのだし、今年は特にという訳ではないのだろうが、衝撃度はやはり今年が一番高い。
本来、古いものが終わるのはよいことなはずだ。
なにせ、古い何かが終わらないと新しい何かは始まらないのだから。
会社だって政治だって、いつまでも老害がのさばっているようでは若い芽は育たないよ。
日本全体の問題なんだけど、若手を育成する余力を完全に失ってしまっているよな。
権限のある仕事をしないと若手は育たないと思うよ。
漫画界もしかりで、少年ジャンプはそれが顕著。
長期連載が終わるっていうのもある意味1つのチャンスだとも見られる。
なんだかんだで才能のある漫画家の卵は少年ジャンプに真っ先に集まるんだし、うまく育て上げて欲しいと思いますよね。
進撃の巨人の作者が少年ジャンプの持ち込みを断られた話は有名だけど、今まで少年ジャンプは多くの才能を潰してしまったのも確か。
かつて、鳥山明が鳥嶋という編集者に鍛えられた話は有名だけど、日本のシンクロみたいに指導者の力ってかなり大きいんだよね。
全然メダル取れなかったのが鬼コーチの指導で実際にメダルがとれちゃうんだから。
どんな世界でもそうなんだけど、老人たちは若者を搾取の対象とみるのはやめなければならないと思うよ。
なんだかんだで豊富な経験を持っているんだからさ、出し惜しみしないでそれを後世に伝えていって欲しいね。
って、最後は何の話だか分からなくなってしまったけど、これだけの偉業を成し遂げたこち亀には心からの賛辞を贈りたいと思います。