ミレニアム ドラゴンタトゥーの女 上 2

 この本の主人公は二人いると思う。
 一人はジャーナリストのミカエル・ブルムクヴィスト。
 もう一人はリスベット・サランデル。
 物語はこの二人の視点で交互に進んでいく。
 ミカエルはある種のジャーナリストの理想の体現であると思う。
 単身で巨大なコングロマリッドの長であるヴェンネストレムに闘いを挑み、あっさりやられる。
 完全に嵌められたのだ。
 なので、この世界的なベストセラーの主人公は、開始早々刑務所に入れられるはめになる。
 最も、日本やアメリカと違って、スウェーデンでは刑務所に入ることは、そこまで絶望的なことではないようだ。
 日本は逮捕されたら基本終わりである。
 ミカエルにとって重要なことは、彼がエリカという女性と共同で経営している「ミレニアム」の存続は危ういということであった。
 ヴェンネストレムの悪事を暴くはずの記事が、自分に取っての命取りになるのである。投げた手りゅう弾が返ってきてしまった。
 誤報を載せた「ミレニアム」の信用は失墜、名誉棄損で刑務所行き。
 散々である。
 でも、巨大企業に立ち向かって散るジャーナリスト、という設定には何か胸を熱くさせるものがあった。
 日本にはジャーナリストなどいない。ジャーナリズムもない。
 新聞やテレビはひたすら巨大権力に阿ることにしか興味がない。真実などいらない。商品が売れればいい。甘い汁さえ吸えればいい。
 勿論この本の世界にもそう言ったえせジャーナリスト達が沢山いる。
 彼らは悪党を賛美し、お零れにあずかるのである。
 気骨のあるミカエルは刑務所行きが確定する。
 何やら暗い始まり方である。
 続く。

ミレニアム ドラゴンタトゥーの女 上 1

 なんとなく思いついたので、読書日記でもつけようと思う。
 そう思わせるぐらいの破壊力が、この「ミレニアム」という本にはあった。
 まだ三部作全部読んでいないのだが、これからは一冊読む毎に感想を書きたいと思う。
 この本を読もうと思ったきっかけはなんだったか?
 確か故・児玉清さんが絶賛していたのを何かで見て以来、ずっと頭の奥にひっかかっていたような気がする。何万冊も本を読んでいる人が絶賛しているんだから面白いのかも知れないという思いがある一方、有名人が絶賛している本や映画に当たりがなかったり、ベストセラーにあまり面白いと思う本がなかったりすることもあり、結構な期間読まなかった。
 先日ふと、「永遠の0」のあとがきを児玉清さんが書いているのを見かけた(永遠の0は読んでいない)。久しぶりにHEROを見た。そして書店でひときわ目立つ黄色の背表紙に「ミレニアム ドラゴンタトゥーの女」とあったのを見た。
 ドラゴンタトゥーの女。どう考えてもゲテモノだ。ドラゴンと聞くと、ドラクエやらパズドラやらが浮かぶ。つまりファンタジーだ。全世界で売れているファンタジー。ハリーパッターに指輪ナルニア物語。
 そんな系列かと思っていた。全然違った。
 かなり骨太なミステリーだった。
 シャーロック・ホームズのような謎解きは勿論だが、この本の根底に流れているのはジャーナリズムだと思う。
 作者が元々ジャーナリストということもあるのだろうが、この本に流れている血は社会批判であり、社会批判を忘れてしまったジャーナリスト達への批判であるのだと思う。
 疲れたので続く。
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